2010年「ほかならぬ人へ」で第142回直木賞を受賞した白石一文さん。
そんな白石一文さんの単行本と文庫の新刊情報をまとめました!
それぞれ最新刊から最大5冊を紹介しています。
※新刊予定については新刊情報が入り次第、単行本と文庫の「1.」に記載します
それでは、簡単なあらすじを含めてそれぞれ見ていきましょう。
白石一文の単行本新刊情報
1.『代替伴侶』(2024/10/15発売)
最新刊
筑摩書房
<あらすじ>
不妊で悩んでいた隼人とゆとりの夫婦。ある日、ゆとりは隼人に別の男性との間で妊娠したことを告げ、隼人の元を去ってしまう。失意の隼人は「代替伴侶」の貸与を人権救済委員会に申請し、それ以後隼人はゆとりの記憶を複写された「代替伴侶」と生活を共にする。
ところが、今度は隼人が「代替」のゆとりの許を去ることになる。すると「代替」のゆとりはなんと隼人の「代替伴侶」を申請し、それが委員会に認められてしまう。こうして元の夫婦二人の関係は破綻したが、代わりに「代替」同士が共に仲睦まじく暮らすという皮肉な状況が出来する。そもそも「代替」の二人には、自分たちが「代替」であるという自覚が持てないようにプログラミングされているのだ。
その様子を見ながら生身の隼人とゆとりは、あらためて自らの夫婦のかたちが当初から大きく変質してしまったことを思い知り衝撃を受ける。
「代替」の二人の関係は、あり得た未来の、もうひとつの自分たちの姿なのだ。そして「代替伴侶」には、始動から10年という期限が設定されていた。まず「代替」のゆとりが死を迎えた瞬間に、生身の隼人はある決意をする――。
単行本はこちらが最新刊になります。
2.『Timer 世界の秘密と光の見つけ方』(2024/5/27発売)
毎日新聞出版
<あらすじ>
「どんなにかなしいことがあっても、本当にかなしむ必要はない。この世界に悲劇なんてものは存在しないんだから。」89歳までの健康長寿を約束する夢の装置Timerを開発し、失踪したサカモト博士が残したメッセージにはどんな意味があったのか?
装着したTimerの消滅日=死を目前に、カヤコは突然、「博士を捜し出し、Timerの秘密をが知りたい」と言い出した。その時限設定を解除した者は不老不死になるという噂もある。彼女の真意は不明だが僕は同行を決めた。
年老いて夫婦二人きりになった今、カヤコの死は、僕の死だった。
3.『かさなりあう人へ』(2023/10/12発売)
祥伝社
<あらすじ>
スーパーの人気商品を盗んだ野々宮志乃は、万引きGメンから声をかけられる。咄嗟に志乃は、店の駐輪場にいた箱根勇に、「あなた」と夫のごとく呼びかけた。勇は反射的に夫婦を装い、志乃を助けて……。夫に先立たれた四十代販売員の志乃と、不倫が原因で離婚した五十代会社員の勇。
親しげな言葉を交わすようになったふたりは、断ち切れぬ絆を感じる。傷を抱えた大人たちが辿り着いた場所とは――。
4.『投身』(2023/5/26発売)
KADOKAWA
<あらすじ>
最高の人生
永遠の快楽
その、極北十字架を背負った女が、死にゆく男と交わした奇妙な約束――。衝撃のラスト4ページの先に、あなたは何を見るだろうか。
介護に疲れて次々と男を買う女、妹の夫との際どい週末のひととき、両親・祖父母が遺した消えない禍根、忘れ得ぬ男との別離と心に刻まれた深い傷跡。そして、死にゆく男が示した奇妙な交換条件……。
いくつもの人生が響き合い、絡み合う。そして物語は、衝撃のラストへ。人生と世界の営みの深淵を追い続ける作家が到達した、新たな極点
5.『松雪先生は空を飛んだ』(2023/1/30発売)
KADOKAWA
<あらすじ>
「今日から、きみたちは自由に空を飛ぶことができる」スーパー・パリットストアの総菜部新入社員、銚子太郎は窮地に立たされていた。発注ミスで野菜サラダのパックが100個も届いてしまったのだ。通常の10倍量のサラダを前に困り果てる銚子太郎だったが、ベテランパート久世さんの「サラダ記念日を絡めたPOPをつける」という名案に救われる。
それをきっかけに久世さんと仲良くなった銚子太郎は、ある日木から降りられなくなった猫を助けるために、空中を飛行する久世さんを目撃してしまう――。
既婚者の子供を身ごもり、世をはかなむ糸杉綾音。セスナ機事故で九死に一生を得てから、人が変わってしまったスーパーヤオセーの会長・高岡泰成。描かれる複数の男女の生活と歴史、そして見え隠れする「空を飛ぶ人間」の存在。
やがて、空を飛ぶ彼らには「私塾で松雪先生の最終講話を受けた」という共通点が浮かび上がってくる。時を経て、再び最終講話メンバーが集まった時、松雪先生の頭にあった計画とは――
続いて文庫の新刊を見ていきましょう!
白石一文の文庫本新刊情報
1.『強くて優しい』(2024/7/11発売)
文庫最新刊
祥伝社
<あらすじ>
「小柳のためならいつでも死んでやる」 14歳の夏、仲間優司の放った言葉を小柳美帆が忘れることはなかった。 20年後、エリート新聞記者との結婚を控えた美帆は、地元福岡で優司と偶然再会する。婚約者の裏切りと母への不信に苦しむ美帆は、優司のそばでかつてない安らぎを覚え、ある願いを抱く。だが背中に龍の刺青のある優司には、語られぬ壮絶な過去があって……。
『心に龍をちりばめて』改題作品
2007年の単行本を改題した文庫新装版です。
2.『快挙』(2024/5/17発売)
鉄筆
<あらすじ>
白石一文史上、最も!?ハッピーエンドな物語。「とにかく、今日は人生で一番嬉しい日だ。やったぞって気分なんだ。」邂逅、結婚、転身、流産、裏切り……夫婦の実相を描いた快作。カメラマン志望の俊彦はある日、撮影のために訪れた東京・月島の路地で「小料理すま」を営むみすみと出会う。二人はほどなく結婚。やがて俊彦は小説家へと転身を図るが、作家デビューはままならず、みすみは二度の流産で悲嘆に暮れる。そんな折、阪神淡路大震災が発生し、みすみの実家が被災して……。
時々に吹き荒れる逆風、荒波に翻弄されながらも懸命に生きる二人。だが、いよいよ追い詰められた俊彦が、命を投げ捨てるほどの覚悟で決断し、掴み取った「快挙」とは。
2013年の単行本の文庫新装版です。
3.『我が産声を聞きに』(2024/2/15発売)
講談社
<あらすじ>
コロナ禍、夫の良治に乞われ、病院に同行した名香子。肺がんの診断を受けた良治は、今日からは好きな人と暮らし治療をすると告げて家を出てしまう。人生をやり直すという一方的な言い分に、二十数年の夫婦生活を思い呆然とする名香子。
自らの命と真に向き合ったとき、人は何を選ぶのか。直木賞作家渾身の作。
2021年の単行本の文庫版です。
4.『道』(2023/10/6発売)
小学館
<あらすじ>
男は、どん詰まりの場所にいた。二年半前の大学生だった娘の交通事故死。そこから精神の変調を来たし、二度の自殺未遂の隘路から抜け出せない妻。あれを試すしかないのか―。かつて、高校受験に失敗した直後、失意のうちに目にした「道」というタイトルの一枚の絵。そして、そのあとに訪れた名状しがたい不思議な出来事。
40年ぶりにその絵を目にした男は、気が付けば、愛娘の交通事故が起こる直前、二年半前の三軒茶屋交差点の現場に立っていた―。
2022年の単行本の文庫版です。
5.『神秘』(2023/7/27発売)
毎日新聞出版
<あらすじ>
癌(がん)という不可思議な病を通して、この世の〈神秘〉を解き明かす白石文学の集大成。53歳、大手出版社役員の菊池は末期がんで余命一年と宣告される。5年前の妻との離婚がその原因と思われた。
彼は、治療を放棄し、「がんを消す女」を探すため神戸へ移り住む。
2014年の単行本の文庫新装版です。
文庫本の新刊情報は以上になります。
まとめ
それぞれおさらいします。
■単行本新刊
- 『代替伴侶』(2024/10/15発売)
- 『Timer 世界の秘密と光の見つけ方』(2024/5/27発売)
- 『かさなりあう人へ』(2023/10/12発売)
- 『投身』(2023/5/26発売)
- 『松雪先生は空を飛んだ』(2023/1/30発売)
■文庫本新刊
- 『強くて優しい』(2024/7/11発売)
- 『快挙』(2024/5/17発売)
- 『我が産声を聞きに』(2024/2/15発売)
- 『道』(2023/10/6発売)
- 『神秘』(2023/7/27発売)
かなりマイペースに作品を発表している白石一文さん。次作が楽しみですね。
それでは、良い読書体験を!
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