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さまざまな動物たちが登場し、活躍する小説がたくさんあります。
ほっこりしたり、泣けてきたり、はたまたハラハラしたり……とにかく動物が登場する小説を読みたい! という方に向けて、おすすめ動物小説を紹介いたします。
動物小説おすすめ作品(犬編)
犬については犬好き必読の犬小説! おすすめ作品ランキング10作の記事にまとめましたので、そちらをご覧いただければと思います。
犬が登場する小説を読みたいという方に。
動物小説おすすめ作品(猫編)
猫についても猫好き必読の猫小説! おすすめ作品ランキング10作の記事にまとめましたので、そちらをご覧いただければと思います。
猫が登場する小説を読みたいという方に。
動物小説おすすめ作品(哺乳類編)
犬と猫以外の哺乳類を扱った小説を紹介します。
1.『マチルダ』(ポール・ギャリコ/1970年)
カンガルー
<あらすじ>
チャンスに恵まれない芸能エージェント、ビミー。彼のもとに転がりこんできた天才ボクシング・カンガルー、マチルダは、ひょんなことから世界チャンピオンをKOしてしまった!
たちまち新聞社からマフィアまでを巻きこみ大騒動!
一頭のカンガルーに夢を賭ける男たちの奇想天外な冒険と、その意外な顛末を痛快に描く傑作。
ポール・ギャリコはアメリカの作家で、多くの動物小説を発表しています。
こちらはボクサーのカンガルーが登場する爽快な物語。笑いと優しさが作品全体を包み込んでいます。
2.『有頂天家族』(森見登美彦/2007年)
タヌキ
<あらすじ>
「面白きことは良きことなり!」が口癖の矢三郎は、狸の名門・下鴨家の三男。宿敵・夷川家が幅を利かせる京都の街を、一族の誇りをかけて、兄弟たちと駆け廻る。が、家族はみんなへなちょこで、ライバル狸は底意地悪く、矢三郎が慕う天狗は落ちぶれて人間の美女にうつつをぬかす。
世紀の大騒動を、ふわふわの愛で包む、傑作・毛玉ファンタジー。
森見登美彦によるタヌキ一族が登場するファンタジー。
通常の動物…とはちょっと違いますが、毛色の変わった動物小説を読みたい方に。
3.『雪の練習生』(多和田葉子/2011年)
ホッキョクグマ
<あらすじ>
腰を痛め、サーカスの花形から事務職に転身し、やがて自伝を書き始めた「わたし」。どうしても誰かに見せたくなり、文芸誌編集長のオットセイに読ませるが……。サーカスで女曲芸師ウルズラと伝説の芸を成し遂げた娘の「トスカ」、その息子で動物園の人気者となった「クヌート」へと受け継がれる、生の哀しみときらめき。
ホッキョクグマ三代の物語をユーモラスに描く、野間文芸賞受賞作。
ホッキョクグマを擬人化し、しかもそれを三代にわたって描いたという異色の作品。
ユーモラスでありながら、読後は温かい気持ちに満たされます。
4.『シャトゥーン ヒグマの森』(増田俊也/2009年)
ヒグマ
<あらすじ>
マイナス40度も珍しくない極寒の北海道・天塩研究林。そんな土地に立つ小屋に集まった、学者や仲間たち。そこへ雪の中を徘徊する体重350キロ、飢えて凶暴化した手負いの巨大ヒグマ、“シャトゥーン”ギンコが襲いかかる!
次第に破壊される小屋。電話も通じない孤立無援の状況下から抜け出すことは出来るのか!?
第5回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞作ということで、ミステリー&サスペンスな物語。
とにかくヒグマの描写が恐ろしく、スリリングな展開が続きます。ハラハラドキドキしたい方に。
5.『動物記』(新堂冬樹/2009年)
グリズリー、シェパード、プレーリードッグ
<あらすじ>
父親とアラスカに来ていた小田切俊一は、ロッジで飼われている小熊のアダムと遊ぶのが好きだった。アダムは獰猛なグリズリーの子供なのに、人なつこかったのだ。それから、22年の時が流れ、俊一はアラスカロケ番組のディレクターに抜擢される。
俊一は、息子の俊夫と再びアラスカへ。だがロケ候補地では「クマ王」と呼ばれる巨大熊が甚大な被害をもたらしていた…(「極北の王者アダムの生涯」)。人間と動物とのふれあい、家族愛を活写した3編の感動の物語。
グリズリー(ヒグマの一亜種)、ジャーマン・シェパード、プレーリードッグという3種の動物をそれぞれのストーリーにまとめた中編集。
どの物語も感動的で、動物との絆や愛の感じられる作品です。
動物小説おすすめ作品(鳥編)
それでは続いて、鳥が登場する小説を紹介していきます。
1.『ぼくの小鳥ちゃん』(江國香織/2001年)
<あらすじ>
雪の朝、ぼくの部屋に、小さな小鳥ちゃんが舞いこんだ。体長10センチ、まっしろで、くちばしときゃしゃな脚が濃いピンク色。「あたしはそのへんのひよわな小鳥とはちがうんだから」ときっぱりいい、一番いいたべものは、ラム酒のかかったアイスクリーム、とゆずらないしっかり者。
でもぼくの彼女をちょっと意識しているみたい。小鳥ちゃんとぼくと彼女と。少し切なくて幸福な、冬の日々の物語。
江國香織さんによる、温かくて優しい作品。
小鳥ちゃん、ぼく、彼女……三者の関係性を巧みに描いていきます。
2.『ペンギンの憂鬱』(アンドレイ・クルコフ/1996年)
<あらすじ>
恋人に去られた孤独なヴィクトルは、憂鬱症のペンギンと暮らす売れない小説家。生活のために新聞の死亡記事を書く仕事を始めたが、そのうちまだ生きている大物政治家や財界人や軍人たちの「追悼記事」をあらかじめ書いておく仕事を頼まれ、やがてその大物たちが次々に死んでいく。
舞台はソ連崩壊後の新生国家ウクライナの首都キエフ。ヴィクトルの身辺にも不穏な影がちらつく。そしてペンギンの運命は…。
欧米各国で翻訳され絶大な賞賛と人気を得た、不条理で物語にみちた長編小説。
アンドレイ・クルコフはウクライナの小説家。
ペンギンと暮らす小説家が主人公という物語は、深い洞察力をもって魅力的なストーリーに仕上がっています。
3.『ペンギン・ハイウェイ』(森見登美彦/2010年)
<あらすじ>
小学四年生のぼくが住む郊外の町に突然ペンギンたちが現れた。この事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした。
未知と出会うことの驚きに満ちた長編小説。
こちらもペンギンものですが、一転して森見登美彦さんによる不思議でライトな物語。
アニメ劇場版がAmazonプライムビデオでも配信されています。こちらもおすすめです。
4.『かもめのジョナサン』(リチャード・バック/1970年)
<あらすじ>
「飛ぶ歓び」「生きる歓び」を追い求め、自分の限界を突破しようとした、かもめのジョナサン。群れから追放された彼は、精神世界の重要さに気づき、見出した真実を仲間に伝える。しかし、ジョナサンが姿を消した後、残された弟子のかもめたちは、彼の神格化を始め、教えは形骸化していく…。
新たに加えられた奇跡の最終章。帰ってきた伝説のかもめが自由への扉を開き、あなたを変える!
あまりにも有名な作品ですが、意外にも未読という方もいるのではないでしょうか。
五木寛之さんが訳した、こちらの完全版をおすすめします。
動物小説おすすめ作品(その他編)
1.『クサリヘビ殺人事件 蛇のしっぽがつかめない』(越尾圭/2019年)
<あらすじ>
動物診療所を営む獣医・遠野太一の幼なじみでペットショップを経営する小塚恭平が、
自宅マンションでラッセルクサリヘビに噛まれて死んだ。ワシントン条約で取引が規制されている毒蛇が、なぜこんな場に? 恭平から電話を受けて現場に駆けつけた太一は、恭平の妹で今は東京税関で働いている利香とともに、その謎を解き明かそうとするが、周囲に不穏な出来事が忍び寄り……。
最後にまさかの展開が待ち受ける! ワシントン条約で禁止されている動物の違法売買の闇を描く、ノンストップ・サスペンス。
クサリヘビを凶器に用いた殺人事件を描くミステリー&サスペンス。
ワシントン条約や動物違法売買なども扱った、やや社会派よりのエンターテインメント作品です。
動物小説おすすめ作品(動物園編)
1.『午後からはワニ日和』(似鳥鶏/2012年)
<あらすじ>
「イリエワニ一頭を頂戴しました。怪盗ソロモン」 –凶暴なクロコダイルをどうやって?続いて今度はミニブタが盗まれた。平和なはずの動物園で起きた謎の誘拐事件はどうなるの?!
楓ヶ丘動物園の飼育員である僕こと桃本たちは解決に乗り出す! 動物によく舐められるキリン飼育員の桃くん(桃本)、猛禽類担当で美人ツンデレ獣医の鴇先生、げっ歯類担当で動物園のアイドル飼育員七森さん、爬虫類担当でミステリ好きの変態・服部君(カルト的人気! )など、動物たちよりもさらに個性豊かなメンバーが活躍する、愉快でキュートな、大人気動物園ミステリー第一弾!
似鳥鶏さんによる動物園ミステリー「楓ヶ丘動物園」シリーズの第一弾です。
個性的な飼育員たちが活躍する、ライトですがしっかり読ませるミステリー作品です。
2.『市立ノアの方舟 崖っぷち動物園の挑戦』(佐藤青南/2019年)
<あらすじ>
野亜市役所職員の磯貝健吾は、突然の人事異動で廃園寸前の市立動物園の園長に就任した。だが、初日から飼育員たちに“腰掛の素人”と反発されてしまう。挫けそうになったとき一人娘が写生したゾウの絵を目にし、何としてでも園を存続させようと決意。
厄介な問題だらけだが、そこには曲者揃いの飼育員たちの動物への一途な想いがあった。真っ直ぐな情熱が胸を打つお仕事小説!
こちらも飼育員が奮闘する物語。
「園の存続」という難題をいかに乗り切っていくか。熱くてストレートな感情が読む者の心を打ちます。
まとめ
■犬編
■猫編
■哺乳類編
- 『マチルダ』
(ポール・ギャリコ/1970年) - 『有頂天家族』
(森見登美彦/2007年) - 『雪の練習生』
(多和田葉子/2011年) - 『シャトゥーン ヒグマの森』
(増田俊也/2009年) - 『動物記』
(新堂冬樹/2009年)
■鳥編
- 『ぼくの小鳥ちゃん』
(江國香織/2001年) - 『ペンギンの憂鬱』
(アンドレイ・クルコフ/1996年) - 『ペンギン・ハイウェイ』
(森見登美彦/2010年) - 『かもめのジョナサン』
(リチャード・バック/1970年)
■その他編
- 『クサリヘビ殺人事件 蛇のしっぽがつかめない』
(越尾圭/2019年)
■動物園編
- 『午後からはワニ日和』
(似鳥鶏/2012年) - 『市立ノアの方舟 崖っぷち動物園の挑戦』
(佐藤青南/2019年)
以上の作品を紹介してきました。
実際の動物がそうであるように、動物小説も多種多様。きっとどの作品も心に響くものがあると思いますので、あなたの良い読書体験の助けになれば幸いです!