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ハラハラドキドキする「誘拐」をテーマにした小説がたくさんあります。
なぜ誘拐したのか、身代金の受け渡しはどうするのか、人質は無事なのか……誘拐をテーマとする小説を読みたい! という方に向けて、おすすめ「誘拐もの」小説を紹介いたします。
誘拐もの小説おすすめ作品10作
1.『大誘拐』(天藤真/1978年)
<あらすじ>
三度目の刑務所生活で、スリ師戸並健次は思案に暮れた。しのぎ稼業から足を洗い社会復帰を果たすには元手が要る、そのためには―早い話が誘拐、身代金しかない。
雑居房で知り合った秋葉正義、三宅平太を仲間に、準備万端調えて現地入り。片や標的に定められた柳川家の当主、お供を連れて持山を歩く。
…時は満ちて、絶好の誘拐日和到来。三人組と柳川としの熱い日々が始まる!
第32回日本推理作家協会賞長篇賞受賞作。
「誘拐もの」の名作として、必ずといっていいほどその名が挙がる作品です。
1978年と古い作品ではありますが、今読んでも充分楽しめる「誘拐もの」のエッセンスが詰まった名作です。
2.『ゲームの名は誘拐』(東野圭吾/2005年)
<あらすじ>
敏腕広告プランナー・佐久間は、クライアントの重役・葛城にプロジェクトを潰された。葛城邸に出向いた彼は、家出してきた葛城の娘と出会う。“ゲームの達人”を自称する葛城に、二人はプライドをかけた勝負を挑む。
娘を人質にした狂言誘拐。携帯電話、インターネットを駆使し、身代金三億円の奪取を狙う。犯人側の視点のみで描く、鮮烈なノンストップ・ミステリー。
東野圭吾は「誘拐もの」でも素晴らしいストーリーテラーということがわかる作品。
さまざまなギミックを駆使して展開するストーリーはさすがです。
『g@me.』というタイトルで映画化もされています。
関連記事>3.『あした天気にしておくれ』(岡嶋二人/1983年)
<あらすじ>
北海道で3億2千万円のサラブレッド「セシア」が盗まれた。脅迫状が届き、「我々はセシアを誘拐した」で始まる文面は、身代金として2億円を要求してきていた。
衆人環視のなかで、思いもかけぬ見事な方法で大金が奪われる。犯人たちの「裏の意図」とは。そして、「裏の裏」の出来事が!
競走馬が誘拐されるという衝撃の冒頭から、先が気になって一気に読み進めることができます。
誘拐ものとしても一級品の出来で、大きなカタルシスを得ることができます。
4.『二度のお別れ』(黒川博行/2003年)
<あらすじ>
三協銀行新大阪支店で強盗事件が発生。犯人は現金約400万円を奪い、客のひとりを拳銃で撃って人質として連れ去った。大阪府警捜査一課が緊急捜査を開始するや否や、身代金1億円を要求する脅迫状が届く。「オレワイマオコツテマス――」。
脅迫状には切断された指が同封されていた。刑事の黒田は、相棒の“マメちゃん”こと亀田刑事とともに、知能犯との駆け引きに挑む。
直木賞作家・黒川博行による、手に汗握る誘拐ものの傑作。
大阪府警シリーズ第一作で、犯人との駆け引き、ストーリー展開は名手のそれです。
5.『誘拐遊戯』(知念実希人/2016年)
<あらすじ>
東京・白金で暮らす女子高生が誘拐された。身代金は5000万円。犯人を名乗るのは、4年前の女子中学生誘拐事件の犯人「ゲームマスター」。交渉役には元警視庁刑事・上原真悟を指名。
ゲームマスターのミッションを果たすべく、上原は池袋、豊洲、押上など、東京中を駆け回るが……。衝撃の結末が待つ犯罪サスペンス!
(『あなたのための誘拐』改題・改稿)
医療小説をメインに描く新鋭作家・知念実希人による誘拐もの作品。
誘拐ものとしてスタンダードな展開ですが、本格的なサスペンスで一気読み必至です。
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6.『宰領 隠蔽捜査 5』(今野敏/2013年)
<あらすじ>
衆議院議員が行方不明になっている。伊丹刑事部長にそう告げられた。牛丸真造は与党の実力者である。やがて、大森署管内で運転手の他殺体が発見され、牛丸を誘拐したと警察に入電が。
発信地が神奈川県内という理由で、警視庁・神奈川県警の合同捜査が決定。指揮を命じられたのは一介の署長に過ぎぬ竜崎伸也だった。
反目する二組織、難航する筋読み。解決の成否は竜崎に委ねられた!
今野敏の人気シリーズ・隠蔽捜査の5作目。
大物議員の誘拐に加え、組織の反目という、困難な状況を主人公竜崎がどう解決していくのでしょうか。
隠蔽捜査シリーズは以下の記事でも紹介しています。
今野敏「隠蔽捜査シリーズ」の読む順番と感想、おすすめランキング
関連記事>7.『スワン』(吉川英梨/2011年)
<あらすじ>
背望会テロ事件から一年。警視庁鑑識課・原麻希のもとに、公安部の広田達也から「背望会リクルーターの指紋が見つかった」という連絡が入る。捜査のため奈良県に向かったふたりのもとに、新たな事件の一報が。奈良県知事選候補者が誘拐され、身代金の運び屋には麻希が指名されたというのだ。
またもや背望会の仕業なのか、それとも――!?
大阪府警vs.警視庁の熾烈な捜査バトルが繰り広げられる、人気長編警察小説シリーズ第2弾。
こちらもシリーズ物。
女性主人公の原麻希が奔走するシリーズ2作目で、こちらは知事選の候補者が誘拐されるというもの。
6位の作品と同じく組織の反目を描いていますが、主人公の違いで物語は大きく異なります。そうした点に注目するのも面白いかもしれません。
8.『ドンナビアンカ』(誉田哲也/2013年)
<あらすじ>
虫けら同然の人生で、初めて落ちた本気の恋。それは俺に心からの幸福と、地獄を招いた――。大手外食企業役員と店長が誘拐された。練馬署強行犯係の魚住久江は、一課時代の腐れ縁・金本らと捜査に召集される。
だが身代金受渡しは失敗、切断された体の一部が送りつけられる。やがて捜査線上に浮かんだのは、一人の中国人女性。
一課復帰を拒み所轄を生きる女刑事が事件の真相を追う!
直木賞候補にもなり、勢いのある誉田哲也による誘拐もの作品。
こちらも女性刑事の活躍が光り、ストーリー展開に片時も目が離せません。
関連記事>9.『慟哭』(貫井徳郎/1989年)
<あらすじ>
痛ましい幼女誘拐事件の続発。難航する捜査。その責めを負って冷徹な捜査一課長も窮地に立たされた。若手キャリアの課長をめぐる警察内部の不協和音、マスコミによる私生活追及。
この緊迫した状況下で、新しい展開は始まった!
サイドストーリイに、黒魔術を狂信する新興宗教の生態や現代の家族愛を鮮烈に描きつつ、人間内奥の悲痛な叫びを抽出したこの野心作は北村薫氏をして、書き振りは《練達》、読み終えてみれば《仰天》、と驚嘆させた巧緻この上ない本格推理。
貫井徳郎のデビュー作。
不穏な雰囲気をまといながら進んでいくストーリーは、とにかくラストに仰天します。この驚きを体験してみてください。
10.『一千兆円の身代金』(八木圭一/2014年)
<あらすじ>
日本政府に突きつけられた驚愕の要求―。「元副総理の孫を誘拐した。財政赤字と同額の一〇八五兆円を支払うか、さもなくば、巨額財政赤字を招いた責任を公式に謝罪し、速やかに具体的再建案を示せ」。
前代未聞の要求にマスコミは騒然。警視庁は捜査一課特殊犯係を直ちに派遣し、国家の威信をかけた大捜査網を展開する。
やがて捜査陣は、あるブログの存在に行き着くが…。
感動と慟哭のラストが待ち受ける“憂国”誘拐サスペンス巨編! 2014年第12回『このミステリーがすごい!』大賞大賞受賞作。
身代金が一千兆円を超えるという壮大な要求は、誘拐ものの中でも群を抜くスケールでしょう。
ラストに向けて見事に収束させていき、読後は必ず何かしら考えさせられるような作品です。
まとめ
- 『大誘拐』
(天藤真/1978年) - 『ゲームの名は誘拐』
(東野圭吾/2005年) - 『あした天気にしておくれ』
(岡嶋二人/1983年) - 『二度のお別れ』
(黒川博行/2003年) - 『誘拐遊戯』
(知念実希人/2016年) - 『宰領 隠蔽捜査 5』
(今野敏/2013年) - 『スワン』
(吉川英梨/2011年) - 『ドンナビアンカ』
(誉田哲也/2013年) - 『慟哭』
(貫井徳郎/1989年) - 『一千兆円の身代金』
(八木圭一/2014年)
以上の10作を紹介してきました。
ネットや通信網が発達した今、誘拐そして身代金要求という事件は減少しつつあります。かつての誘拐事件、そして現代の誘拐事件を扱った作品を読むことで、誘拐事件捜査がどのように変化していったかを体感していけると思います。
ハラハラドキドキをぜひ体験してみてください!